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類似ラブホテル問題とは何か?

警察庁による類似ラブホテル規制強化がいよいよ動き出そうとしている。

警察庁は平成18年10月、各都道府県警察に「地域において問題となっているラブホテル等への対応について」と題する通達を行った。

そして、それにいち早く応えたのが、兵庫県警である。
兵庫県警は、平成19年12月、県内のラブホテル137店舗に立ち入り調査を実施、平成20年1月にはホテル「チャペルスイート」をアダルトグッズの違法販売を理由に摘発した。ついで3月には「全国偽装ラブホテルをなくす会」が発足、4月には旅館業法の施行条例を改正し類似ラブホテルへの規制強化をはかった。そして、5月には、大阪市が旅館業法に関する条例の改正案を可決、また福井県警が偽装ラブホテルの実態調査を開始したと報じられた。そして、同じく5月には埼玉県警による「WATER HOTEL NOA」の摘発を行った。
更に、11月には再び、兵庫県警が神戸市内の3ホテルに対し、風営法違反容疑で日本レジャーホテル業協会」(大阪市)の副会長が経営するホテル2店舗を含む神戸市内のホテル3店舗と副会長宅など計7カ所の家宅捜索を行った。

そして今年になり、警察庁は「類似ラブホテル」規制のあり方を検討するために、有識者6人による研究会を発足、3月18日に第一回会合を開いた。

この研究会による検討結果がいかなる結果になるのかは今のところは不明である。
しかし、研究会は類似ラブホテルに関していかなる対応をすべきか?ということを研究することが目的ではなく、あくまでも”類似ラブホテルをいかに規制すべきか”ということが目的をするものであり、その大まかな内容も”警察庁は、類似ラブホテルを風俗営業法の規制対象にできるかどうかの検討”し、”5月上旬にも意見をまとめる”と報道され通りである。ほとんど内容的には警察庁主導の出来レースとなりそうである。
本来、法案の改正には国会で審議されて決議されることが必要であるが、現在の風営法は、その対象となるホテルの要件を政令に丸投げしている。よって政府の考え方だけで、なんとでもなってしまうのが現状である。

こうした警察庁の動きにきな臭い匂いを感じるのは、私だけではあるまい。まったく何のためのラブホテル規制なのかが全く見えてこない。

そもそも、類似ラブホテルとは風営法の届け出がないラブホテルのことを指す。これは、従来からある言葉ではなく、法律用語でもなく、最近になって警察庁があみ出した言葉である。そして、この”類似ラブホテル”という言葉に、世相を一定の方向にリードしようという意図的な思惑が感じ取れる。

類似ラブホテルというのは、その言葉をそのまま解釈すると、”ラブホテルに類似したもの”という意味である。すなわち、類似ラブホテルという言葉には、”風営法の届け出をしたホテルだけがラブホテルであり、それ以外はラブホテルではない”というニュアンスが込められている。

しかし、一体いつから、風営法の届け出をしたホテルだけがラブホテルになったのか?

ラブホテルという言葉は法律用語ではない。その語源は種々語られているが、自然発生的に生まれてきた、いまや日本語の一つである。そしてラブホテルという言葉の意味するところは、警察庁が言うように、決して”風営法の届け出をしたホテル”とイコールではない。”風営法の届け出をしたホテル”はあくまでもラブホテルという範疇、カテゴリーの一角を占めるに過ぎない。にも関わらず、警察は、風営法の届け出がないホテルはラブホテルではないとして、類似ラブホテルと呼び、法の網をくぐって届け出をせずにラブホテル業務を行うことはけしからんとばかりに規制の網をかけようとしている。警察庁は、たくみに本来のラブホテルの持つ意味合いや定義までも変更し、そのすり替えに基づいた論理展開を始めたという訳である。

しかも、そもそも、風営法が規制の網を欠けていたのは、ラブホテルではない。風営法が規制をしていたのは、ラブホテルの一つの形態であるモーテルである。
モーテルは、車庫から直接、誰の目にも触れることなく客室に行けてしまうことから犯罪の温床になるとの名目で規制の網が欠けられたのである。昭和58年の風営法改正までは、”モーテル営業の定義”が詳細に定義されていたことからも、その事実が伺える。昭和58年の風営法改正を機会にして、モーテル営業の定義は本法から施行条例に移されたが、風営法届け出の要件であるロビーと食堂の要件も、こうしたものはモーテルにおいては存在しないため、モーテルとその他のラブホテルを見分けるための基準として設けられたのである。”風営法の対象となるホテル=ラブホテル”ではなく、”風営法の対象となるホテル=ラブホテルの中でモーテルに該当するもの”であることは、警察庁が一番よく知っている事実のはずである。
にも関わらず、今になって”風営法の対象となるホテルだけがラブホテルであって、それ以外のラブホテルではない”との勝手な解釈を作り上げ、そして”風営法の届け出をせずにラブホテルを行うことは脱法行為”だとマスコミにリークし続けている。そしてそれを鵜呑みにしたマスコミや世相も”それはけしからん”とばかりに批判を強めている。まさに警察の仕掛けにまんまと載せられた感じである。

では、何故今、警察は類似ラブホテルなる言葉を生み出し、規制の網をかけようとしているのか?

それは、年々、風営法対象のラブホテルが減少し続けることに対する危機感である。風営法対象のラブホテルは、警察の管轄である。しかも全国にそれらを管轄するホテル協会や等は彼ら警察官の天下り先の一つである。

この類似ラブホテル摘発の発端を切り、類似ラブホテルに対する対策チームまで設置したのは兵庫県警である。その兵庫県におけるラブホテルの全軒数は233軒であるが、それに対してその中に含まれる類似ラブホテルの件数は172軒にも達し、その割合は73%と全国平均の47%を大きく上回る。兵庫県警は、こうした現状に相当な危機感を抱いていたことに間違いない。
兵庫県に続いて類似ラブホテルの摘発に入った埼玉県とて同様である。ラブホテルの全軒数377軒に対して類似ラブホテルの軒数244軒と、その割合は65.4%である。(いずれも、2007年12月末時点)


そもそも、警察は風営法施行当初から、すべてのホテルを風営法の対象とすることを目論みつつも、厚生省や警察権力の増大を危惧する議員の反対にあい、挫折した経験を持つ。
しかし、耐震構造偽装問題をきっかけとした昨今の規制強化という風潮に、警察もいまこそ勢力拡大のチャンスとばかりに動き出したというのが、類似ラブホテル問題の本質なのである。

官僚支配、そして公務員の天下りの問題が毎日のように世間やマスコミを賑わしている。しかしそんなことはおかまいもなく、更に、深く自分たちの権力拡大を目論む公務員達。

そんな公務員達の思惑の前で、これからもラブホテル業界は彼らの掌の上で踊らされ続けることになりそうである。



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