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ラブホテルにおけるレストランの位置づけ

あるラブホテルの経営者から、新築の際に必要ということでレストランを作ったのであるが、使ってもおらず、とりあえず待合室にしたいのであるが、法律的な問題はないかとのご質問を頂いた。

そこで、今回は、ラブホテルにおける食堂・ロビーの位置づけについて解説しよう。
ラブホバイブル第九章で述べたように、現在、ラブホテル開業にあたっては、旅館業法に基づいて、都道府県知事(但し、保健所設置市又は特別区にあっては市長又は区長)の許可を得る必要がある。
当然、旅館業法の定める規定を遵守していなければ、許可は下りない。 すなわち、旅館業法に定める規定をクリアしなければラブホテルを新築して、経営することはできない。
旅館業法自体は、非常に短い法律で、条文は16条までしかないのであるが、その内容は、主に、営業の許可を受ける際に守らなければならない事項と、営業の許可を受けた後に守らなければならないことの二つに区分される。

<営業の許可を受ける際に守らなければならないこと>
・施設の構造設備が一定の基準を満たしていること
・施設の設置場所が一定の基準を満たしていること
・申請者(ラブホテル経営母体)が旅館業法違反を犯した場合には、その刑の執行を受けてから3年以上経過していること

<営業の許可を受けた後に守らなければならないこと>
・施設の構造設備が一定の基準を満たしていること
・換気、照明、防湿及び清潔その他宿泊者の衛生に必要な措置
・宿泊をさせる義務
・宿泊者名簿備え付けの義務

レストランの問題を考慮する際に、ここで問題になるのは、「施設の構造設備が一定の基準を満たしていること」の内容であるが、旅館業法にはその内容については、旅館業法施行令で定める基準よるとしている。
そこで、旅館業法施行令の中身について吟味しなければならないことになるが、ここには以下のような基準が定められている。

<旅館業法施行令で定めるホテル構造設備の基準>
1.客室の数は十室以上
2.客室の床面積は9平方メートル以上
3.出入口及び窓は、かぎをかけることができるものであること
4.出入口及び窓をのぞき、客室と他の客室、廊下等との境は、壁造りであること
5.宿泊しようとする者との面接に適する玄関帳場(ロビー)を設けること
6.適当な換気、採光、照明、防湿及び排水の設備を有すること
7.宿泊者の需要を満たすことが出来る適当な数の様式浴室又はシャワー室を有すること
8.宿泊者の需要を満たすことが出来る適当な規模の洗面設備を有すること
9.当該施設の規模に応じた適当な暖房の設備があること
10.便所は、水洗式であり、かつ、座便式のものがあり、共同用にあっては男子用、女子用の区分があること
11.施設の場所が学校等の周囲100メートル区域内にある場合は、当該学校等から客室や設備が見えないような設備をすること
1.その他都道府県が定める基準に適合すること

ここには、玄関帳場、いわゆるロビーについての規定はあるものの、レストランについての規定はない。よってレストランは無くても構わないようにも思えるが、しかし、最後に「その他都道府県が定める基準に適合すること」という文言があることに注意が必要である。
つまり最終的には、都道府県毎の条例を見ないとわからないということである。

都道府県毎の条例は、それぞれの都道府県が独自に定めるものであるから、上記のラブホテルの経営者の質問に答えるには、そのラブホテルが存在する県の条例をみないとわからないということになる。

ちなみに、ラブホバイブルの第九章でも記載した東京都の旅館業法施行条例には「宿泊定員及び利用形態に応じた十分な広さのロビー及び食堂を有すること」との規定があるので、レストランは必要不可欠ということになる。
一方、仙台市にの施行条例にはレストランの規定がないので、レストランは必要ではないということになる。

レストラン設置を義務づけているところ
東京都、鹿児島県他

レストラン設置を義務づけていないところ
仙台市、福島県他

そして更にもう一つ注意しなくてはならないことがある。それは、ラブホテル規制条例である。ラブホテル規制条例も各地方自治体によりばらばらであり、その全容をつかむのは少々やっかいであるが、それらの中には、ラブホテル規制条例で規制するラブホテルの定義にあたって、「レストランがない」といった項目を設けていることが非常に多いのである。すなわち、レストランがないとラブホテル規制条例でのさまざまな規制が加えられることになる。

加えて、法律ではないが、指導要綱という形でレストランの設置を義務づけたりしている場合もある。
すなわち、ラブホテルにレストランが必要かどうかの判定においては、各都道府県の旅館業法施行条例、各都道府県のラブホテル規制条例(→更には各都道府県のラブホテル施行規則及び規則)、ホテルやラブホテルに対する指導要綱を探ってみなくてはわからないということになる。

なお、レストランというのは、風営法上の適用対象となるホテルかどうかの判定にも重要な意味合いを持っていることはラブホバイブル第九章でも説明した通りである。

風営法では、車庫から直接に客室に出入りできて、しかも客室内で精算までできるモーテルタイプや疑似モーテルタイプのようなラブホテルは基本的には風営法上の店舗型性風俗特殊営業ということになるが、一定の規模のレストランを設置することで、風営法上の認定からはずれることになる(判定表参照)。


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