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神戸ラブホテル摘発事件にみるマスコミのデタラメ報道

2008年1月28日、兵庫県警は風営法違反の疑いで、神戸市内にあるホテル「チャペルスイート」と大阪市の経営会社事務所を捜索に入った。

この件につき、新聞各紙の論調はいずれも”ビジネスホテルとして許可を得ながら、実際はラブホテルとして営業されていた”といったものである。

「ビジネスホテルなどと自治体に申請された兵庫県内のホテルが実際にはラブホテルとして営業されていた」(朝日新聞)

「学校が密集する地域で、神戸市内のホテルがビジネスホテルなどとして許可を得ながら、実際はラブホテルを営業している疑いが浮上」(神戸新聞)

そして更に、新聞各紙はこう解説する

「県警によると、ビジネスホテルは旅館業法に基づく自治体への届け出が必要で、フロントで客に氏名、住所を書かせるなどの規定がある。一方、ラブホテルは風営法に基づき都道府県公安委員会への届け出が必要で、一部の商業地域でしか出店できない。」

「ビジネスホテルは旅館業法に基づき、ロビーの設置や宿泊客への氏名、住所などの記載が義務付けられている。ラブホテルにはこうした規定はないが、風営法に基づき都道府県公安委員会へ届け出なければならず、学校から200メートル以上離れた場所など、指定された一部の地域でしか営業が認められない。」

「兵庫県内の約50件の「ラブホテル」が、無許可営業の疑いがあることが25日、兵庫県警の調査でわかった。県警によると、風営法に基づき、県内でラブホテルとして営業の届け出があるのは43件(平成19年末現在)。しかし、県警が独自に調査したところ、ほかに旅館業法に基づき、登録している約150件のビジネスホテルや観光ホテルがいわゆる「ラブホテル」として利用されていたという。」

まったく、何をやいわんかな、である。
マスコミ各社は、記事を書く前に、もうすこしきちんと調べてから書いて欲しいとつくづく思う。

ラブホバイブルの読者の方ならもうご存じのことと思うが、ラブホテルの営業許可なるものなんて一切、存在しない。
時々、「ラブホテルを経営してみたいのだが、どのような許可が必要か?」といった問い合わせがメールで私のもとに届くこともあるが、そのようなものはないのである。

「おや、風営法の許可が必要なのではないか?」とお考えになる方もいらっしゃるかもしれないが、風営法は一定の要件に該当した施設を「店舗型性風俗特殊営業」と定義し、それに該当する施設に届け出を要求はしているが、これはあくまでも届け出であって、許可ではない。許可というものは、”一般に禁止されている事柄を特定の場合に解除すること”をいう。届け出とは根本的に異なる概念である。

ラブホテルの許可なんてものはないのである。
しかしラブホテルを営業するのには、何も許可がいらないのかというと、そうではない。

ラブホテルを営業するのに必要な許可がある。それが旅館業法である

旅館業法は、「ホテル営業」「旅館営業」「簡易宿所営業」を旅館業と定義、これらを営業するものは、都道府県知事(特別区は市長)の許可を受けなければならないと定めている。
すなわち、ホテルであれば、シティホテルであろうが、ビジネスホテルであろうが、はたまたラブホテルであろうが、旅館業法に基づく営業許可が必要になるのである。(よってビジネスホテルの許可なるものも存在しない。あるのはホテルとしての許可だけである)
そして旅館業法に基づいて許可を受けるには、旅館業法及び施行令や各都道府県の旅館業法施行条例等のさまざまな規制をクリアする必要があることはいうまでもない。
これらの規制をクリアする過程で自然と、ホテルは風営法でいう「店舗型性風俗特殊営業」には該当しないホテルとなってしまう。
現在、風営法に該当するホテルを作りたくても作れないという状況があるのである。よって風営法が念頭においているのは、こうした旅館業法や施行令、各都道府県の施行条例がまだ未整備だった頃に設備を整えた、相当以前のホテルのみであり、そうしたホテルは届け出をしてくださいと言っているだけなのである。

”ビジネスホテルはこうだが、ラブホテルはこうだ”といった論調はまったくおかしな的外れの論調なのである。

しかし、では神戸のラブホテル摘発は何が問題であったのか?という疑問を感じる方もいよう。

この点につき、何もわからず報道したの新聞各紙の紙面を読んでも、詳細は不明であるが、ヒントは下記の報道の中にあるようである。

「調べでは、このホテルは全19室にアダルトグッズの自動販売機があるなど風営法上のラブホテルに当たるのに、経営会社は一般のホテルを装い、風営法や県風営法施行条例で禁止された住宅街で営業していた」(朝日新聞)

すなわち、アダルトグッズの無届け販売が摘発の理由だったと思われる。
上記の朝日新聞の報道では、「アダルトグッズの自動販売機があるなど風営法上のラブホテルに当たる」 と書いてあるが、そうではなく、アダルトグッズを販売していたこと自体が問題であったということである。

言うまでもなく、アダルトグッズの販売は「店舗型性風俗特殊営業」に該当する。(風営法第二条6の号及び施行令第四条四)
よってアダルトグッズの販売には風営法に基づく届け出が必要となる。
しかし、風営法に該当しないラブホテルのほとんどが、この届け出をしていないという現状が存在している。すなわち無届け販売が横行しているのである。今回は警察はここをついた。

従来からラブホテル経営者にとってアダルトグッズの販売は、ラブホテル経営の一貫として当たり前のことであった。しかもアダルトグッズの販売は粗利も大きく、旨みのある商売であった。そのため、ごくごく当たり前のごとく、いずこのラブホテルもアダルトグッズの販売をしてきた。
この点につき、うすうす無届けであることも気がついていた経営者の方も多いだろう。しかしそれを指摘されたこともないし、きちんと届け出を出そうという意識もなかった。
届け出を出しても距離制限や地区制限等々の条件にひっかかり通らないことも多いし、そもそも営業に際して周囲には「当ホテルはラブホテルではありません」と公言しているラブホテルも多い中で、そのような届け出を出すこともはばかれた。
その結果起きた、無届けアダルトグッズ販売の横行である。

だが、今回の事件でラブホテル経営者は、アダルトグッズの販売について再考すべき時期が来たように思う。
この神戸の事件がどこまで他県に広がるかは不明であるが、この事件を契機として住民達が声を大きくする事態になれば、他県の警察も動かざるを得ないという事態が起きるかもしれない。

それに、アダルトグッズの販売はラブホテルにとって、従来ほどの重要度はなくなりつつある。
アダルトグッズ販売の主導権は今やネット通販やビデオショップに奪われ、年々、ラブホテルでの売上は減少しつつある。単価の下落も続いてる。
もはや法律を犯してまで旨みのある商売ではなくなりつつあるのである。

この神戸の摘発事件は、ラブホテル経営者にとっては、アダルトグッズの販売について、今一度よく考えてみる、よい機会である。


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