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風営法施行令の改正のインパクト

平成23年1月1日より、「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行令」の改正が施行されることになった。(施行令、いわゆる命令の改正であり、風営法自体の改正ではない)

その改正の内容についてであるが、「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律」(以下、風営法)は、その2条6項において店舗型性風俗特殊営業なるものを定義、その4号において「専ら異性を同伴する客の宿泊(休憩を含む。以下この条において同じ。)の用に供する政令で定める施設(政令で定める構造又は設備を有する個室を設けるものに限る。)を設け、当該施設を当該宿泊に利用させる営業」は店舗型性風俗特殊営業に該当する旨、規定している。
つまり、客の大半がカップルであるホテルが、”政令で定める施設”に該当するものである場合には、そのホテルでの営業は店舗型性風俗特殊営業に該当する要件の一つを満たしたことになり、更にその他の要件(政令で定める構造又は設備)を満たすことにより、風営法の適用対象ホテルとなるという訳である。

そこで、”政令で定める施設”がどのようなものを言うのかということになるが、それは政令3条2項に規定されている。その内容についてざっくり説明すると、現行では”政令で定める施設”とは、十分な広さの食堂(調理室含む)やロビーがないホテルのみを指していたのであるが、、今回の改正では、その他にも外部から見える位置に休憩料金の表示があったり、玄関やフロントに目隠しがあったり、客がそのままホテルのスタッフと面接することなく客室にチェックインできてしまうようなホテルも、”政令で定める施設”に該当することになったのである。

(改正後の”政令で定める施設”)
・十分な広さの食堂やロビーがないもの(従来と変更なし)
・外周や外部から見える施設の内部に休憩料金の表示や休憩できる旨の表示がある施設
・施設の出入口やその近辺に、目隠しなどの客の出入りの外部から見えにくくする設備がある施設
・フロントがカーテンなどによって遮蔽されている施設
・客室鍵の自動交付機械が設置されていたり、客がホテルスタッフに面接しないで客室に入れてしまう施設

(注)なお、上記でも述べたが”政令で定める施設”に該当すれば、即、風営法の対象になるかといえば、そうではなく、括弧書きの中に規定されているように、”政令で定める施設”であって”政令で定める構造又は設備を有する個室を設けるものに限”って、風営法の対象となる。
すなわち、「政令で定める施設+政令で定める構造」「政令で定める施設+政令で定める設備」の条件を兼ね備えるものだけが、風営法の対象となることに注意。このあたりの詳細についても、いずれ、本文を修正して紹介したいと思う。


さて、では今回の風営法施行令の改正はどのようなインパクトをラブホテルの業界に与えるものであろうか?

既に業界では、大変な出来事と受け止めている向きもあるようであるが、改正の意味合いを冷静に考えれば、特に慌てる必要はないことが理解できる。
今回の目玉である”政令で定める施設”の要件拡充は、何もそうした政令で定める施設を作ってはいけないとは言っているわけではない。そうした要件を備えて堂々とラブホテルを営業したければ、今まで届け出を出していなかったラブホテルに風営法の届け出を出しなさいといっているだけなのである。要は警察の管轄下に入れということだけなのである。
通常、ラブホテルが風営法の適用から逃れようとするのは、金融機関からの融資の問題や地域における反対運動の問題、及び、風営法が規定する距離制限、区域制限から逃れるためである。しかし、すでに営業しているラブホテルには融資の問題、反対運動の問題は既に過去のものであるし、風営法適用による最大のデメリットともいえる距離制限、区域制限の問題は1月31日までに届け出をすれば、既得権を認めてもらえることになっている。届け出さえ出せば、一部広告規制の問題などはあるが、ほとんどは今までと変わらぬ営業ができるのである。つまり、蓋を開けてみたら、見た目は何にも変わらなかったということで終わりそうである。

確かに一部のホテルでは、風営法の届け出をすることをためらい、既にオープンフロントに切り替えたり、客室から自動精算機を撤去する向きもあるようである。それはそれで一つの経営方針であるが、風営法の届け出を出さないホテルはオープンフロントを採用しなければならない訳でもない。フロントに遮蔽があっても、自動精算機がなければ問題がない(小窓での精算はOKと思われる)し、フロントに遮蔽があり、自動精算機があってもスタッフの面接が可能となっている状態(やや知恵を絞った設備や工夫は必要となるが)であれば、ロビー設置の自動精算機の使用も十分可能である。

では、風営法施行令の改正がまったく業界に影響を与えないかというと、そうではない可能性もある。もしかしたら、これから新築されるラブホテルには、風営法施行令の規定に抵触しないように注意する必要があるが(さもなければ、距離制限で大幅に立地が制限される上に、金融機関の融資にも響くであろう)、そのため大きな影響を与える可能性はあるだろう。そして、その際には風営法施行令の改正によるアナウンスメント効果とも言えるものの影響を確実に受けることになるだろう。
前回の風営法施行令の改正の際においては、そこに回転ベッド云々という文言が盛りこまれたことにより、回転ベッドはいつしか禁止されたという風潮が流れ、そして、業界から姿を消した。よく条文を読めばそんなことは一言も書いてないにも関わらず、一般の人はそこまでは詳しく条文を読まないから、いつしか、そういった誤った知識が蔓延したものである。
今回も同じことが繰り返されるであろう。これからのラブホテルは、外周に休憩料金の表示をしてはいけないであるとか、オープンフロントの採用が原則になった、自動精算機は設けてはいけないことになったといったことがささやかれることなるだろう。そして、そのために、ラブホテルの建設を諦めたり、オープンフロントのラブホテルが次々と登場するといったことも予想されよう。

そしてそれにより、かつては密かな楽しみであったはずの性は、ますます人にみられても平気なオープンさを備え付けていくであろう。

”もうラブホテルはこそこそとはいるところではない”
風営法施行令の改正は、その改正の意図とは裏腹に、結果だけをみればそうした考え方を根付かせる土壌となるであろう。


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