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あわや、食中毒?

今日は、朝からコンピューターの作動がおかしくなり、ばたばた。
客がチェックインしたはずの客室がチェックイン状態にならなかったり、逆に客がチェックアウトして誰もいないはずの客室がチェックイン状態のままであったり。シリアル機のほうを再起動し、更に会計機のほうを再起動したら、ようやく直った。その瞬間、チェックアウトしたという音声合図が約10連発。
やれやれと思っていると、今度は、通用口のチャイムがなった。
私のところのラブホでは、客が出前を注文することを受け付けているので、その、いつもの出前かと思ったら、対応したフロントのY子が戻ってきて、、そして笑いながら言った。

「駐車場の自販機を飲んだというお客が下痢になったと苦情に来ています」

”おいおい、笑いながらいうセリフではないだろう?”と思いつつ、慌てて出て行くと、通用口の外に60歳すぎぐらいの男性が立っていた。通用口の入り口には、その男性のものと思われる車が停まっており、中には20代後半ぐらい?と思われる女性がのっていた。

「おまえんとこの自販機で昨日、コーヒーを買って飲んだら、腐っていたじゃないか。女の子が一口飲んで吐き出したから、まだよかったものの、パチンコしていても下痢が止まらず、ひどいめにあったぞ!」

私が詳しく事情を尋ねると、私のところのラブホテルの敷地内には自動販売機(機械をメーカーから借りて、私のところで管理している)が置いてあるのであるが、昨夜、私のところで休憩して帰る際に、ジュースを買って飲んだとのことであった。

男性は、車の中にいた女性を呼び、、車から出てきた、その女性に「昨日のコーヒーは?」と尋ねた。
「捨てた」と女性が答えると、「何で捨てるんだ、拾ってこい」と。

その二人は、急いで自販機のあるとことに走って向かった。私も後を追う。
自販機のところにつくと、女性は急いで、自販機の横に置いてあった缶コーヒーを拾い、私に見せて言った。

「ほら、平成5年と書いてあるじゃない!」

”はあ?? 平成5年のはずがないだろう?”と思いながら、受け取って缶コーヒーの裏を見ると、”051015”と書いてあった。

「2005年10月15日に賞味期限が切れてますね」と訂正した。
確かに賞味期限は1ヶ月ほど過ぎている。

「申し訳ございません、賞味期限が切れてますね」と平謝りする私に、男性は「お前も飲んでみい」というと、自分の財布から小銭を出して、女の子にわざわざ自販機からコーヒーを買わせて差し出した。

私は仕方なく一口飲む。カフェオレであったからたぶん熱でミルクが腐ったのであろう。確かに飲めた物ではなかった。お酒を吐いた時のようなツーンとくる味がする。

「さあ、もっと飲め!」というので、もう一口、私は吐き気を堪えながらぐっと飲みながら、どうしたものかと対応を考えた。
飲んだという女性は目の前にいるのだから、病院に行くほどの状態ではなかったらしい。それに、この味はごくごく飲める味ではないから、おそらく、すぐに吐きだして事なきを得たのであろう。
ここはとにかく謝るしかないだろうと考え、「申し訳ございません」と僕はひたすら謝り、二人の気分が収まるのを待った。
だが、男性の感情が一向には治まる気配がない。そして言った。

「今日は保健所が休みだから、明日、保健所にいくからな」。そして、「保健所に持って行くのにもう一本、買っておけ」と女性にお金を再び、お金を渡した。女性はお金を男性から受け取ると、缶コーヒーをもう一本、すかさず買う。見事な連携プレーだ。
さすがに、その二人を見ていると、私も冷ややかな気持ちになるとともに、少々、いらだってきた。ちょっとお金をつつんでこの場を収めようかとも考えていたのであるが、そんな気持ちも失せてきた。

「連絡先かいておくわ」

その男性はそういうと、携帯の電話と名前と住所を書いて私に手渡して言った。

「どうしても保健所にいってもらったら困るということなら連絡くれ」。

「いえ、こんな不始末を起こした以上、保健所の指導を受けたいと思います」と私は答えた。

二人はようやく車に乗り込み、去っていった。

ふうう、今日は天中殺か……。

(ちなみに、以後、その二人からは何の連絡もない。腐った缶コーヒーを3本買っただけ、損をしたという訳だ)


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